「店主のつれづれ」カテゴリーアーカイブ
店主の思うままにつらつらと書きます。
6年前の昨日
6年前の7月20日、
お向かいの大徳寺保育園に通うお子さんやお母様を対象としたお茶会をしていました。
当時の書き込みには、
子供たちにホルン
今日のお茶会で店に飾ってるホルンを子供たちに試してもらった。
最初は遠巻きに見ていたがすぐに食いついた!
こどもはすぐに吹き方を見よう見まねでマスターしてしまう。
「こんなに集中している息子を見たことがない」 とはお母さんのことば。
少年よ、君は4歳にしてもう見つけてしまったのか!?
子供達はしっかりお茶を飲んでいたし、上手にホルンを吹いていたことを思い出し、とても懐かしく思います。
今その子供たちは10歳。
ずいぶん大きくなっていることでしょう。
また、こんなお茶会もしたいのものです。
毎日釜をかける
皐盧庵ではこの時期、店を入ったすぐのところにある四畳半の茶室には毎日炉に炭をおこして釜をかけています。
お店がそんなに混むことはないので、かけた釜のお湯を全く使わない日もあります。
けれど、今日くらいは釜をかけなくていいかと思ってサボっている日に限って火を入れなかったことを後悔することになるのです。
それにいつ来ていただいて良いように美味しいお茶をすぐにお出しできる用意をしておくことでお越しになられた時の喜びも一入というものです。
釜に火を入れることで部屋をほんのりあたためることも、釜の湯気で乾燥しがちな部屋を潤すこともできます。
今では炭を使うことができない茶室も増えているのでできる限り毎日炭で沸かしてた釜のお湯でお客様をお迎えしたいとおもいます。
シーズン到来!
3月に入り、いよいよ暖かくなってきました。
ここからは天気のことがとっても気になります。
気温はどうか、雨降りは(日照時間含む)、霜が降りないかなどなど。
暖かくなると店としては人通りも増えお越しになるお客様も増えるのでとってもありがたい。
しかし、反面、またこのシーズンが来てしまった。という思いもあります。
なぜなら、畑が忙しくなるからです。
茶の最盛期ともなると朝は早いし、動いたら暑いし、体のあちゃこちゃ痛いし、たいへんです。
にわか茶農家の私ですらそうなのですから、たくさん畑を持っている茶農家さんは本当にたいへんです。
今の時期何をしているかというと肥料をまいています。
仕事としてはかなり遅い。
ほんとはもっと早くしたかったのですが、定休日の火曜、水曜がなぜか天気がよくないので。
使っているのは菜種油粕、にしんの粉(魚粉)。
これら有機肥料は緩行性といってゆっくりお茶に効いてくるので早めにあげておく必要があります。
それにしても。
あ〜、紫野の原料を茶冷蔵庫に取りに行って抹茶挽かないと。
確定申告の書類も書かないと。
嵐電茶会の用意もしないと。
仕事は山積みである。
抹茶とは、、
抹茶とは、碾茶を石臼で挽いたもの。
碾茶とは、茶園に覆いをして20日以上日光を遮って育てて摘んだ一番茶。
これも確かな定義というわけではないようです。
石臼の代わりに粉砕機を使って粉にしたものも抹茶って言いますし、碾茶にも2番茶があり、秋に摘んだものを秋碾といってこれを粉砕したものですら抹茶となる可能性があります。
さらに覆いをしていない煎茶の1番茶を粉砕したものを抹茶と言うようになるかもしれません。
世の中がどのように変わり、求めらるものが変わったとしても残したいものがあります。
それは「名前」ではなく「昔からある本物」ということです。
「抹茶とはなんですか」と尋ねた時には、
「緑が鮮やかでなんともいえない香りがして飲んで美味しいもの」と答えてもらえるように。
まだまだお茶に関して未熟な私が言うのもおこがましいことではありますが、
未来の人たちにちゃんとしたものを残してあげたいと思うのです。
お茶の淹れ方(第2回 水とお湯)
お湯を冷まして淹れる。
これはお茶を楽しまれる方ならよくご存知のことでしょう。
では、一体何度で淹れるのか?
だいたいどうやって計るのか。
お水は水道水がよいのか、ミネラルウォーターがよいのか。
などなど。
疑問は尽きないところでしょう。
正直なところ絶対的な答えはありません。
最後の逃げは「お好みで」ということになります。
しかしそれでは話が終わってしまいますのでうちではこうしているという例として書かせていただきます。
1 鉄瓶最強!
お湯を沸かすのに鉄瓶を使うことでこれほどお湯を美味しくなるのかと驚きます。
鉄瓶がなければポットのお湯でも構いません。
鉄瓶についての詳しい話はまた後日。
2 水道水でよい
水を買ってきてペットボトル入りの水をいくつも試してみましたが水道水より美味しいとは感じませんでした。
蛇口から出てくる水は空気がたくさん含まれて新鮮なのでこちらの方が汲んでから長い時間が経った水より良いような気がします。
ただし、しっかり沸かしましょう。
石灰分やマグネシウムなどが多い硬水では少々お茶の味や色が出にくい傾向にあります。
最近では浄水器をつけているところも多いと思いますのでうまく利用すればよいでしょう。
3 冷ましたければ水を差す。
お茶を淹れるのにお湯を冷ます時間がもったいないという方がおられますが沸騰したお湯に少し水を差せばお湯の温度を簡単に下げることができます。
各種お茶に適したお湯の温度は後日。
つまり、お湯に関してはいつものようで構わないということです。
飲みなれた水が一番。
皐盧庵の日常
朝の日課は4畳半の茶室に炭で火を入れ鉄瓶でお湯を沸かしお茶の用意をすることから始まります。
炉は暖房の、火にかけた鉄瓶は加湿器の役割も果たしていますのでお客様がお越しになった時には暖かく過ごしていただけるようにします。
近年お茶は健康に良いなどと言われるようになりました。
私が思うお茶の効果の一番は世の中の喧騒から離れリセットできるということではないでしょうか。
茶室に入り、静かにお茶をいただくことで一瞬でも忙しさや煩わしさを忘れることができるのです。
いつでもお迎えできるようにお客様が来ても来なくても毎日炭を熾し、お湯を沸かして茶室にお茶の用意をしています。
作法を知らなくてもお一人でもかまいません。
どうぞふらっとお立ち寄りください。
茶碗が!
お茶の淹れ方(第1回 お茶の保存)
お茶の淹れ方が難しい、うまく淹れられない。
こんなお話をよく耳にします。
正直なところ、毎回同じように美味しくお茶を淹れるということはお茶を生業にしている私でも難しいです。
お茶を淹れるというのは料理や習い事と同じで慣れ、学習、習得が必要です。
一つの例外はいい材料(お茶の葉)を手にいれることです。
これなら熱湯で淹れても美味しいはずです。
美味しいお茶を楽しんでいただくためにまずはお茶の保存についてお話ししましょう。
さてお茶は乾物ですので湿気を嫌います。
買ってきたときは密封され窒素や脱酸素材などが入っていますが開封すると空気中の湿気を吸います。
湿気を吸うとお茶は質が落ちていきます。
まずは保存に気を使い、密封を心がけることが大事です。
最近のお茶はアルミパックに入っていることが多いので使ったら空気を抜いてシーラーで圧着するのが一番です。
そして冷蔵庫で保存します。冷蔵庫は食品の香りの宝庫です。
お茶はその食品の香りを吸い込んでしまいますので、ジップロックのようなものに入れてしっかり封をするのがいいでしょう。
もちろん茶缶でもよいのですが、最近の茶缶はかしめているだけなのですき間から匂いや湿気を吸うかもしれませんので注意が必要です。
では冷凍庫は?
未開封であれば冷凍庫もよいでしょう。ただし、開封するときは常温に戻してからにしましょう。
冷凍庫もにおいがないわけではないので念のためジップロックに入れるのがよいでしょう。
まとめ
温度管理が大事(冷蔵庫保存が基本)
湿気は大敵 ジップロックまたはシーラー
におい移りに注意
最後に。
開封したら早めに飲みましょう。
開店3周年御礼
3年前の日、皐盧庵茶舗は開店しました。
3年を通過することができましたこと、皆様に御礼申し上げます。
今日はすこし自慢をさせてください。
一、皐盧庵でお茶を飲んでいただいたお客様のほとんどが「また来ます!」と言ってくださいます。(これが一番の自慢です)
一、お茶会などで偶然一緒の席になったお客様同士が終わる頃にはとっても仲良くなっていたりします。(まさに一期一会)
一、皐盧庵のお茶の質は年々良くなっています!(少しだけお茶のことがわかってきたのかもしれません)
一、売上も年々上がっています。(最初が底だったので)
一、ご近所の方に何の店か認知してもらえるようになりました!
さて、
京都にお越しになった方に京都らしい体験をしていただきたい、農家が丹精込めて作った本物のお茶を楽しんでいただきたいとの思いから店を開けましたが開店当初はなかなか思うようにはいきませんでした。(今も決して順風にいっているわけではありませんが…)
1年目は1週間ずっとお客様が来ない日もありましたし、お客さまに来ていただくためにはもっと価格や敷居を低くして今風のカフェにするべきかとも考えました。
幸い私の不埒な揺れは揺れるたびごとに周りの皆様に一蹴され、3年目にしてようやくこれでいいと思えるようになりました。
おかげさまで今年はじめて大徳寺のお茶会でお茶を使っていただくこともできました。
多くの外国人のお客様にお茶を提供できる栄誉にも預かっています。
少しずつですが近所の方にもお茶をお買い求めいただくこともできるようになりました。
なにもかもすべてまだまだですが、3年の間に少しだけ前に進むことができました。
また新たな気持ちでスタートを切るためにのれんを新調しました。
今後とも皐盧庵茶舗をよろしくおねがいいたします。